早過ぎた終焉
前回のトラブルから開けて翌日。
どうしてもこちらから話し掛ける気力が湧かず、夕方ごろまでベッドに避難していた。
その間も彼女は、ドタドタドンドンバタバタと近所迷惑になりそうなぐらいの音を立てて家事をしていた。
ガチャ!と寝室のドアが開く。
「これから晩御飯の買い出しに行くんですけどご飯は食べるんですか?」
わざとらしい敬語と攻撃的な声色に、すぐ返答することができなかった。
「無視ですか?いるんですかいらないんですか。」
食べる
「明日のお昼ご飯はどうするんですか。」
自分で作る
「何を作るんですか。お米炊くんでちゃんと答えてもらえます?」
おにぎり2個作る
「あっそ」
そう言ってドアを開けたまま去っていった。
かと思うと、私の着替えや仕事用の荷物を寝室に投げ込んで一言。
「これでもう私と関わらなくて済むでしょう?もう私からも声は掛けません。」
バタン!と寝室のドアを閉めた。
一気に限界がきた。
もう一緒の空間で過ごせる気がしない。
少なくとも今はどうやっても怒鳴りつけられるビジョンしか見えない。
彼女が買い物に出かけた音が聞こえたので、必要な荷物を持って家を出ることにした。
感情が昂った彼女は家具を倒したり、物に当たり散らかすことがあるのでパソコンとモニターも持って帰ることにした。
私が家を出てから1時間ほど。
彼女からLINEが来た。
[もう連絡してこないでください。]
そこからのやり取りは支離滅裂で、頭が痛くなる物だった。
私はこの時、お世話になっている会社の先輩の家へ一時避難していたのだが、その先輩に彼女とのやり取りを見てもらったところ、
「全く会話になっていない。言っていることがあちこちに飛び回っているうえに、彼女が納得する答えを言わない限りこちらの言葉を歪曲して受け止める。このやり取りになんの意味も感じられない。すごい」
という感想を頂いた。
なんとかやり取りの内容をまとめて書き出したいところではあるが、改めて読み直してもまとめようがない。
ただひたすらにこちらに対しての不満を連投してきたかと思えば、私の質問全てに答えろ、話を逸らすな、といった内容が飛んでくる。
こちらが答えるとその内容は無視、全く別の話が飛び出してさらに攻め立てられると言った始末だった。
最終的に、自殺を仄めかした後に、「お前は気も短く性格が悪い」と言った内容を送ってきた後にブロックされた。
今はとりあえず実家で難を逃れている?状況にある。
私に問題があるせいで彼女は幸せになれないのだろうか。
綺麗事は抜きにして、もう私は彼女のことが好きでは無いのだと思う。
機嫌を伺うことにも、怒鳴られる生活にも、自殺に怯える日々も、もう疲れた。
なぜ自殺を盾にして私を繋ぎ止めようとするのか?
自分が気に入らなければ怒鳴りつけるのか?
私に原因があるのだと思う。
原因がなければ人は人に怒鳴らない。
そんな風に罪悪感や無能感に苛まれる日々も疲れてしまった。
あの広い家に彼女を一人置いてきてしまったことにも、引っかかるものがある。
それとは裏腹に、私はあの家で一人にされても寂しさなど感じないな、と思う部分もある。
もう本当に、疲れてしまった。