別れを決意した日のこと
このブログを始めたきっかけ、別れを決意した日のこと書いておこうと思う。
同棲開始半月後のこと。
その日は朝から出かける用事があったため、早めの時間に起床して一緒に朝食を摂っていた。
目玉焼きにウインナー、トーストにサラダ。
二人分の食事を用意し、テーブルに置く。
「結構引越しにお金かかったね」
そうだね、と答える。
「このお金っていつ払ってくれるの?」
とある事情から直近半年ほど働けていなかった私に蓄えがなかったので、引っ越し資金を立て替えてもらっていた。
ごめん、今すぐは払えない。
そう答えると彼女は食事しながらボロボロと涙をこぼし始めた。
「払う気がないってこと?」
いや、今は貯金がないから払えない、次の給料から分割で返済するよ。
「そんな言い方してなかった。払う気がないって言った。」
いやいや、今すぐは払えないと言ったけど払う気ないなんて言ってない。
「初めから返すって言ってくれない?この先一緒にいるのが不安になってきた。」
そう言いながら彼女はずっと泣き続けていた。
もう今日の出かける予定はキャンセルかなと考えていると、
「行かないの?」
と涙を流しながら聞いてきた。
この状況でも出かけるのか?と一気にイライラが押し寄せたが、押し込めて答える。
じゃあ行こうか。
彼女は無言で準備を始める。
よくもまあこの雰囲気で予定を遂行するものだなと思っていた。
「準備できたから」
彼女の準備が終わり、私も準備を終わらせていたので出かけることに。
家を出る時に鍵を持ってきていないことに気づいたが、彼女が持っているしそのままで良いか。
近くの神社へお参りに行くことになっていたので、二人で歩いて向かう。
私はいつも通り、普段の彼女の歩幅に合わせて歩く。
すると彼女はそれよりも遅い速度で私の後ろに回って歩く。
少し止まってタイミングを合わせようとすると、彼女も止まる。
そんなことを数回繰り返した後、私は先に神社へ向かうことにした。
なるべくゆっくり、早くなりすぎないように、後ろにいる彼女の気配を感じながら歩いていた。
かなり離れた感じがするな、と思い改めて後ろを振り返ると、3メートルほど後ろにいたはずの彼女が15メートルほど後ろを尋常じゃないゆっくりさで歩いていた。
後ろを振り返ると止まる彼女。
もういいか、と思い神社の前へ直行して彼女を待った。
遅れること5分ほど。
彼女が神社の前にいる私にたどり着いた。
ここが神社だね。
彼女からの返事はない。
一通りお参りをして神社を後にする。
この後どうする?
「買い物は行かないの?」
じゃあ行こうか、と言って私が歩き出す。
相変わらず彼女の歩幅は狭い。
もう少しで近所の大型複合施設に着く、というところで私は声をかけた。
何がそんなに気に入らないの?
「知らない。私は普通にしてる。怒ってるのはそっち」
ああそう、じゃあいいや。
そう答えると今度は彼女が倍以上の速度で先に歩き始めた。
私も我慢の限界が来て、すぐ近くの駅から電車に乗ってそこそこ離れた都心部まで一人で向かった。
都心部まで出てきたは良いが、特にやりたいこともなく行きたいところもないのでネカフェで時間を潰すことにした。
副業を調べたり横になったりしているうちに3時間ほどが過ぎた。
そろそろ帰るか、と思い電車に乗って家へ帰ることに。
鍵を持って来ていなかったので、彼女が家に帰っていなければ入ることが出来ない。
とりあえず帰ってインターホンを鳴らせばどうにかなるだろうと考えそのまま家へ。
インターホンを鳴らすも、反応はない。
ダメ元でドアノブを回してみるがもちろん開かない。
彼女に連絡を入れる。
[今どこにいる?]
5分ほど待ってみたが返事がない。
もちろん既読もつかない。
仕方がないのでマンションの下で待つことに。
さらに10分ほど待ったところで再度連絡を入れる。
[まだ外にいるの?]
もちろんなんの音沙汰もない。
20分ほど立ち尽くしたところで、鬼電をしてみることに。
何度かけても出る気配がない。
既読もつかない。
外も暗くなってきて私のスマホも電池に余裕がなくなってきた。
待つこと合計2時間弱。
足も限界、不審者を見るような目つきで通行人から見られるのにも限界が来たので鍵屋を呼ぶことを視野に入れ始めた。
[10分以内に連絡なかったら鍵屋呼んで開けてもらいます。]
すると彼女からすぐに返事が来た。
〈どこにいるの?〉
正直、頭の血管が切れそうだった。
[家の下にいます、どこにいるの?]
〈家〉
叫びたかった。
[もう携帯の電池も切れる。もし家の鍵を開けてくれないなら鍵屋を呼びます。]
〈開けといたから〉
そう言われたので家に向かい、ドアノブを回すと無事に開いた。
いつから家にいたの?と聞くと
「あの後、お店に行ってからすぐ帰ってきてた」
と返事があった。
私が帰って来たのも当然知っていたらしい。
同棲を始めてたった半月。
いきなり締め出しに遭うことになるとは思いもしなかった。
その日のうちに引越し資金の合計額を算出し、月々の返済額を決めた。
また、月々の支払いの内訳の概算を出して一人当たりの必要な金額も決めた。
それで彼女の気持ちはおさまったようで、機嫌よく晩飯を食べて寝ることにした。
もうこの彼女とやっていけない、この先も間違いなく同じようなことを繰り返すだろう。
何があっても、この彼女とは別れる。
そう強く決意した日だった。